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原子力トピックス
【あとむニュース】11月前半
11月前半の原子力情報をピックアップ!
福井県内の原子力ニュース
11月4日 | IAEAの研修を敦賀市で開催 次世代型の原子炉「小型モジュール炉(SMR)」の安全管理などについて学ぶ国際原子力機関(IAEA)のワークショップが、11月4日~8日の日程で、敦賀市の福井県国際原子力人材育成センターで行われました。ワークショップにはアジア、アフリカ、中東など18カ国から29名が参加し、SMR導入に向けた安全管理技術などについて講習を受けました。 SMRは従来の原子力発電所に比べて、安全性や生産性を向上させた小型の原子炉です。広報誌あっとほうむ№217では、SMRの特徴や課題などを分かりやすく紹介しています。 | 小型モジュール炉のイメージ |
11月5日 | 発電所立地地域の振興策を議論 県内の発電所立地地域の経済活性化やまちづくりを目指す「嶺南Eコースト計画」の推進会議が、5日、敦賀市の若狭湾エネルギー研究センターで開催されました。会合には、国、県、市町、電気事業者、大学、産業界等の代表者が出席し、廃止措置中の発電所から出る廃棄物のリサイクルビジネス等について議論が行われました。 | 推進会会議の様子 |
11月13日 | 敦賀2号機の再稼働不許可を正式決定 原子力規制委員会は、13日に開かれた定例会合で、日本原子力発電㈱の敦賀発電所2号機の敷地内に認められるK断層の活動性及び連続性について、新規制基準(キーワード)に適合しないとする審査書を正式決定し、再稼働を許可しないことを決定しました。これに対し日本原子力発電㈱は、審査の再申請に向け、必要な追加調査の内容を検討中です。 また翌14日、日本原子力発電㈱は県庁を訪れ、審査の再申請に向けて断層の追加調査を進めることを説明しました。 | 日本原子力発電㈱ 敦賀発電所 |
日本国内の原子力ニュース
11月1日 | 原子力災害における医療ネットワークの運用を開始 原子力災害時に原子力施設内(オンサイト)での緊急作業中に被災した労働者に対する初期医療対応の体制の拡充を図るため、原子力事業者10社※は、「原子力施設における原子力災害オンサイト医療ネットワーク」を構築し、1日から運用を開始しました。実際に原子力災害が発生した場合には、原子力事業者からネットワークに登録した医師に連絡し、施設内での医療支援を依頼することが可能になります。 | |
11月6日 | 青森県で中間貯蔵施設が事業開始 原子力規制委員会は11月6日、リサイクル燃料貯蔵㈱の「リサイクル燃料備蓄センター」(青森県むつ市)について使用前確認証を交付し、同施設の事業が開始されました。同センターは、発電所で使い終えた燃料(使用済燃料)を再処理するまでの間、一時的に保管しておくための中間貯蔵施設です。最終的な貯蔵量として5,000トン・ウランの貯蔵が計画されています。 | リサイクル燃料備蓄センター(むつ市) 提供:リサイクル燃料貯蔵㈱ |
11月7日 11月12日 | 福島第一原子力発電所2号機の燃料デブリ試験的な取り出し完了 東京電力HD㈱は11月7日、福島第一原子力発電所2号機の廃止措置作業において、核燃料デブリ※の試験的な取り出し作業が完了したと発表しました。取り出された燃料デブリは同月12日に日本原子力研究開発機構大洗原子力工学研究所へ輸送されました。 燃料デブリは今後、数カ月から1年程度をかけて分析され、今後の取り出し作業の工法や安全対策、保管方法の検討等に活用される予定です。 | 現在の福島第一発電所2号機 提供:東京電力HD㈱ |
11月15日 | 女川2号機が発電を再開 10月29日の原子炉起動後、11月4日から設備点検のため原子炉を停止していた東北電力㈱の女川発電所2号機について、同社は11月15日、原子炉を再起動させ、発電を再開しました。同社は今後、調整運転を行いながら各種検査・試験等を進め、12月頃の営業運転を再開するとしています。 | 東北電力㈱女川発電所 |
※核燃料デブリ:燃料が過熱し、原子炉内の構造物と燃料が溶けて冷え固まったもの。
キーワード:原子力発電所の新規制基準とは?
原子力規制委員会と新規制基準
2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故を受け、国は原子力発電所の安全規制を一元的に担うため、2012年9月、原子力規制委員会を新たに設置しました。
同委員会は、原子力施設の設置や運転の可否を判断する「新規制基準」を2013年7月に施行。従来の規制基準(過酷事故を防止するための基準)に加え、地震や津波など大規模な自然災害への対策強化や、格納容器破損した場合等の重大事故、テロ対策などを追加した内容となっています。
事故以降、順次定期検査のため運転を停止していた発電所は、新規制基準に係る適合性審査を申請し、原子力規制委員会から認可を受けた後に、運転が可能になります。
新規制基準では地震への対策として、活断層の上に原子炉建屋等の重要な施設の設置を認めておらず、敦賀2号機の審査では、敷地内を通るK断層の活動性などが議論の焦点となっていました。
従来の規制基準と新規制基準の比較イメージ
新規制基準の適合性審査とは?
原子炉の基本設計や方針などを審査する「原子炉設置変更許可」、原子炉設備・機器の詳細な設計を審査する「工事計画認可」、そして運転管理について審査する「保安規定変更認可」があり、原子力規制委員会が段階的に審査を実施します。