原子力ビギナーズ
いろんな発電方法
いろんな発電方法
いろいろな発電方法
火力発電
火力発電では、ボイラーで天然ガス、石炭、石油などの化石燃料を燃やして蒸気をつくり、その力でタービンという羽根車を回して、発電機で電気をつくっています。
現在、日本国内で使われている電気の約7割は、化石燃料を使った火力発電でつくられています。
火力発電の長所
- 大量の電気をつくることができる。
- 電気をつくる量を調整しやすい。
火力発電の短所
- 発電するときに地球温暖化の原因となる二酸化炭素が出る。
- 燃料となる天然ガス、石炭、石油は資源の量に限りがある。
原子力発電
原子力発電は、火力発電と同じように蒸気をつくり、タービンを回して電気をつくります。
火力発電は化石燃料を燃やした熱で蒸気をつくりますが、原子力発電では原子炉でウランやプルトニウムなどを核分裂させて発生した熱を利用しています。
原子力発電の長所
- 少ない燃料で大量の電気をつくることができる。
- 発電時に二酸化炭素を出さない。
原子力発電の短所
- 放射性物質を取り扱うので、厳重な安全対策が必要。
- 万が一、事故が発生した場合に、被害が大きくなる可能性がある。
水力発電
水力発電は、高い所から流れ落ちる水の力を利用して水車を回して発電機で電気をつくっています。
水の量が多いほど、流れ落ちる高さ(落差)が大きいほど、つくられる電気の量は大きくなります。
水力発電の長所
- 発電時に二酸化炭素を出さない。
- 必要な時に発電できる。
水力発電の短所
- ダムを建設するため、建設費が高くなる。
- ダムを建設するときに、自然環境に影響を与える恐れがある。
ダムを造らない小水力発電
水力発電と同じく、水車を回して発電する方法で、小さな河川や用水路などに設置できる発電方法です。発電量は1000kW以下とそれほど多くありませんが、水の流れを止めないので、自然環境への影響を小さくできます。
ただし、発電量に対し、かかる費用が高いことや水利権※の調整が必要などの課題もあります。
※水利権
河川法という法律によって、水を利用する権利が定められており、その権利は水利権と呼ばれます。
川の水を発電などで利用する場合は、その川を管理する役所や団体の許可が必要になります。
風力発電
風力発電は、風のエネルギーを利用して風車を回し、その回転で発電機を動かして電気をつくっています。風車は、より効率よく発電するため、風の向きや強さにあわせて、向きや羽根の角度を変えることができます。
風車は、回転軸の方向によって「水平軸風車」と「垂直軸風車」に分けられます。現在、大型の風力発電所では、発電効率の良い3枚羽根のプロペラ型風車が、また街灯の電源などに使われる小型の風力発電機では、弱い風でも発電できるサボニウス型やダリウス型の風車が主に使われています。
風力発電の長所
- 発電時に燃料を必要としない。
- 発電時に二酸化炭素を出さない。
- 風があれば、夜間でも発電できる。
風力発電の短所
- 風の弱い日や強すぎる日は発電できない。
- 風車の回転する音が騒音になる。
- 発電に適した風の吹く地域が限られている。
太陽光発電
太陽光発電では太陽の光を直接電気に変える太陽電池(光電池)を利用して、電気をつくっています。
太陽光電池は、太陽光発電所や建物の屋根のほか、街灯、ソーラーカー、宇宙ステーション、電卓や腕時計など、さまざまな場所で利用されています。
太陽電池のしくみ
太陽電池はn型半導体、p型半導体という2種類の半導体からできています。
太陽電池が光を受けると、n型半導体にマイナスの電気(電子)、p型半導体のにプラスの電気が集まってきます。
太陽電池に導線をつなぐと、電子がマイナスの電極からプラスの電極に向かって移動することで、電気が流れます。
太陽光発電の長所
- 発電時に二酸化炭素を出さない。
- 設置する地域に制限がないので、導入しやすい
- 送電設備のない遠隔地の電源として活用することができる。
太陽光発電の短所
- 雨や曇りの日、夜間は発電ができない。
- 大量の電気をつくるためには、広い土地にたくさんの太陽電池を設置する必要がある。
地熱発電
地熱発電は、火山地帯の地下にあるマグマの熱を利用しています。地下に浸透した雨水がマグマの熱で蒸気となり地熱貯留層にたまります。その蒸気を取り出してタービンを回して発電しています。
フラッシュ発電方式
日本の地熱発電所の多くは、約200~350℃の高温の蒸気を直接利用して発電するフラッシュ方式が採用されています。
地熱発電の長所
- 日本は世界第3位の豊富な地熱資源がある。
- 昼夜を通して発電でき、天候にも左右されない。
- 発電時に二酸化炭素を出さない。
地熱発電の短所
- 火山地帯にしか設置できない。
- 自然環境への配慮や温泉施設との調整が必要。
- 建設費が高く、計画から運転開始まで時間がかかる。
バイオマス発電
バイオマス発電は、木くずや家畜のフンなどを燃料にした火力発電です。燃料を燃やした熱で水を沸かし、その蒸気でタービンを回して発電しています。
化石燃料を使った発電と違って、燃料を燃やしても空気中の二酸化炭素を増やさないという特徴があります。
バイオマス発電の長所
- 廃棄物を燃料にするため、資源を有効活用できる。
- 植物が取り込んだ分の二酸化炭素しか出さないため、燃やしても空気中の二酸化炭素を増やさない。
バイオマス発電の短所
- 大量の電気をつくることができない。
- 資源の運搬や燃料をつくる処理などが必要で、費用が高い。
バイオマス発電とカーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは、「自然界のカーボン(炭素)の増減がない(中立=ニュートラルな)循環・状態」という意味です。植物由来のバイオマスを燃焼させると二酸化炭素を排出しますが、燃やすことで出る二酸化炭素はもともと植物が大気中から吸収したものであるため、全体を見ると二酸化炭素の増加に繋がらないという考え方です。