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放射線の基礎知識Ⅱ
放射線の基礎知識Ⅱ
放射線は人体にどのような影響を与えるの?
放射線が人体に与える影響
私たちは毎日の暮らしの中で、いろいろな放射線を受けています。自然界には宇宙から飛んでくる宇宙線、大地や食物に含まれている放射性物質からの放射線などがあり、これらは 自然放射線 と呼ばれています。また、 人工放射線 として、レントゲン検査や胃の透視検査などで受ける医療用の放射線などがあります。自然放射線と人工放射線の違いは、放射線が発生する源が自然によるものか人工によるものかの違いです。人体へ与える影響は、受ける放射線の量が同じであれば、自然放射線も人工放射線も同じです。
放射線の量
日常生活で受ける量より、はるかに多い放射線を受けると、放射線が細胞を壊したり細胞の働きを止めてしまいます。
受けた量が比較的少ない場合は、もともと体に備わっている修復機能が働いて回復しますが、一度に多量の放射線を受けると、正常な細胞の回復力が追いつかなくなって障害が現れたり、極端な場合は死に至ることもあります。
人体が放射線を受けた時、その影響の度合いを測るものさしとしてシーベルトという単位が使われますが、おおむね100ミリシーベルト以下で障害が現れることは確認されていません。
宇宙から、空気から、大地から
地球には、宇宙や太陽から飛んで来る放射線が常に降り注いでいます。これらは宇宙線と呼ばれ、その放射線の量は、地上からの高度が高くなるほど多くなります。これは、上空に行くほど空気が薄くなり、宇宙線をさえぎる力が弱くなるからです。
空気中には、ラドンという気体の放射性物質があります。ラドンは、大地やコンクリートなどにわずかに含まれている放射性物質のラジウムから生まれる気体で、私たちは呼吸によって体内に取り込んでいます。
大地には、ウランやトリウム、カリウム40などの自然の放射性物質が含まれています。大地からの放射線の量は、岩石や土に含まれる放射性物質の量によって変わるため、地域によって差があります。
体内、食物中にある自然放射性物質
飲み物や食べ物の中にも自然の放射性物質が含まれています。主なものはカリウム40という放射性物質で、自然界にあるカリウムには必ず0.012%程度含まれています。カリウムは私たちの体に欠かせない栄養素であり、野菜などを食べることで摂取しますが、汗や尿などで排出されるので、体の中のカリウム全体としては0.2%の割合で保たれており、そのうち放射性物質のカリウム40は約0.000024%です。こうした体内にある放射性物質からも私たちは放射線を受けています。
食品中の放射性セシウムの基準値
福島第一原子力発電所の事故後、厚生労働省が食品中の放射性物質に対する基準値を設定しました。基準値の範囲内であれば、放射性物質を含む食品・飲料水を毎日飲食しても健康に影響はありません。